漢方薬は、自然の生薬を最低2種類以上用いて調合される特徴を持っています。民間療法では1種類の生薬を使ったタイプが用いられていて、西洋薬では特定の成分を抽出または合成して作られている違いがあります。

漢方薬ならではの特徴は、症状を直接抑えるわけではない点です。
西洋薬が症状を抑えるようにピンポイントで作用するのに対し、漢方薬は体質改善を促して個人の免疫力で体調を整えるよう促します。そのため、漢方薬は初期症状が表れた時点で個人の体質に合った調合が行われ、服用期間が数週間といった長期間に渡ることが一般的です。健康を維持するために行うので、漢方薬を飲み続けることは体調管理の一貫として行われます。

また、漢方薬では個人の体質を改善することで病気を根本から治すことを目的としているので、別の病気に使われる漢方薬であっても、本人の体質に合っていれば処方されることが珍しくありません。
漢方では人の身体は気・血・水の3種類で構成されていると考えており、状態を表す証として虚と実・寒と熱という状態で表します。病名ではなく身体の状態を証として考えることにより、本来の健康的な状態へ戻すために漢方薬が処方されるわけです。
気の状態が寒証と熱証では、同じ気であっても症状が真逆と考えられます。そのため、似たような症状を示していても、個人の体質により処方される漢方薬は変わります。そして、最終的に身体の状態が健康に戻れば、漢方薬を使った治療は成功したことになるでしょう。